介護サービスの内容について知ろう。
訪問介護
定義
1990年から1999年までの高齢者保健福祉推進十か年計画(ゴールドプラン)で定義された「ホームヘルパー」も2000年にスタートした介護保険制度によってホームヘルプサービスは保険給付の一つとして訪問介護へと制度化され、ホームヘルパーも訪問介護員と呼ばれるようになる。
対象利用者
介護保険制度の要介護認定で要介護1~5の認定を受けた人。また訪問介護サービスは身体介護と生活援助に類型化されている。
行われているケアの内容
訪問介護員は利用者の自宅に訪問して、身体介護や生活援助を行う。利用者の生活の場でサービスを提供するということ。当然、利用者にはこだわりがあり、それこそがその人らしさを表している。それを理解してその人らしさを支えるのが訪問介護員の役目。
通所介護
定義
通所介護は通称デイサービスと呼ばれ、訪問介護と並んで需要が高い。利用者が自宅で可能な限り生活を維持することのみならず、社会参加の機会が減り、家に閉じこもることによる廃用症候群の防止や要介護利用者の在宅生活をできる限り維持することを目的としている。家族の介護負担軽減の役割もある。
2005年の介護保険法改正により地域密着型サービスが創設され、少人数で質を高めたケアを目指す認知症対応型通所介護もスタートした。通所介護の事業所規模は10人以下から100人以上と様々。
対象利用者
要介護の認定を受けた人。介護保険法施行前は措置として行政がサービス利用の必要性を判断・決定していたが、利用者の意向が反映されない反省から、介護保険法施行後はケアマネージャーが利用者ニーズにもとづいてケアプランを作成、サービス調整した上で利用者の自己決定により事業所と契約してサービスを利用する制度となった。
行われているケアの内容
通所介護では入浴、排泄、食事等の日常生活支援から、身体機能、精神機能、ADL(Activities of Daily Living~日常生活動作)の維持・向上を目的としたレクリエーション等を行う。入所の施設介護と違い、毎日利用者の送迎があるのも特徴で、その際の家族との会話での情報収集も重要。介護職員の役割としては日中の生活支援、レクリエーション、機能訓練等がある。利用後は家族や訪問介護員が介護を引き継ぐため、情報共有と連携がとても大切。
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
定義
通称グループホームと呼ばれるものは、ヨーロッパでノーマライゼーションの一環として展開されてきた。元々は認知症の高齢者の対応が起源ではなく、精神障がい者の隔離施設からの解放であるといわれている。日本では1997年より制度を変えながら運用されてきたが、介護保険法施行により介護保険の居宅サービスへ、2006年度からは地域密着型サービスの認知症対応型共同生活介護と位置づけられた。
一つの共同生活住居(ユニット)の定員は5~9人で、居室は個室で、リビング、ダイニング、キッチン、浴室などの共有スペースがあることが原則。
対象利用者
要介護認定で要支援2~要介護5と認定された認知症の高齢者で、共同生活が可能な人。
行われているケアの内容
利用者一人ひとりのできることを見つけて、生活全般において、できること、したいことを一緒に行う。入居者の身体的、精神的な状態に応じて家事の分担をおこなう等、役割を担ってもらい存在意義を感じられるように支援する。日常生活に近い環境で支援することが特徴であるが、介護職にはグループワーク等の社会福祉援助技術や認知症特性の専門的な知識が必要。
小規模多機能型居宅介護
定義
通称「小規模多機能」と呼ばれ、2005年の介護保険法改正にともない、2006年より制度化された毎日住み慣れた地域で最後まで暮らす施策。通い・訪問・泊まりのサービスを組み合わせ、利用者とそれを支える家族や周囲の人々も含めて支援することを目的としている。
対象利用者
その市町村内に住所を有し、かつ要支援・要介護の認定を受けている人。
行われているケアの内容
通い・訪問・泊まりのサービスを組み合わせて24時間365日切れ目のないサービス提供を行い、住み慣れた地域での暮らしの継続を支援する。具体的には食事・排泄・入浴に加えて、状況に応じて自宅と事業所間の送迎、洗濯・掃除・買い物等の生活全般の支援を行う。サービス提供の場が事業所である時と自宅である時があり、またサービス提供時間に区切りがないのが特徴。泊まりについては利用者本人の休息のみでなく、家族のレスパイトサービスの側面もある。
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
定義
特別養護老人ホームは通称「特養」と呼ばれ、かつては寝たきり状態の常時介護を必要とする高齢者が長期入所する措置施設としての役割であった。老人福祉法で設置された特養が介護保険法の指定を受けて運営され、名称も指定介護老人福祉施設とされた。また措置から契約による利用へと変わったが、市町村がやむを得ないと判断した場合は措置による入所も可能。サービス計画にもとづいて食事・排泄・入浴等の介護、その他の日常生活を送る上で必要となる世話・機能訓練・健康管理および療養上の世話を提供することを目的としている。
利用対象者
原則、要介護認定で要介護3~5の人で身体上または精神上いちじるしい障がいがあるために常時の介護を必要とし、かつ居宅において介護を受けることが困難な人。また要介護1や2でもやむを得ない事由がある場合は入所可能。
行われているケアの内容
特養での介護職の仕事は、利用者への食事・排泄・入浴のみならず生活全般を捉えてその人らしい生活ができるように支援すること。集団生活のスケジュールの中で一人ひとりのニーズにこたえる支援が重要で利用者の日々の状態を把握し変化を気づく観察力が求められる。集団的ケアから個別的ケアへと重点がおかれるのが現在のトレンドである。
介護老人保健施設
定義
介護老人保健施設は1982年の老人保健法で設置され、2000年の介護保険制度施行により介護保険施設の一つとなった。特養との大きな違いは、自立支援としての介護を受けながら在宅復帰を目的としてリハビリテーションを提供する施設ということ。また施設内で医師、看護師、栄養士、リハビリスタッフと介護職員等が多職種協働して医療的ケアが提供できるのも特徴。
対象利用者
要介護認定で要介護1~5までの65歳以上の人。また特定疾病によって要介護状態になった40歳から64歳までの人。
行われているケアの内容
在宅復帰した後の日常生活が困難にならないよう在宅復帰後の住宅環境や介護力の情報を収集し、自宅での動線・動作を想定して多職種での連携をとりながら日常生活支援をおこなう。
経費老人ホーム(ケアハウス)
定義
1963年の老人福祉法制定時に老人福祉施設の一つとして経費老人ホームが規定された。以来、規定を変えながら2008年にケアハウスとして一元化された。ケアハウスは身体機能の低下などにより自立した日常生活を営むことに不安があり、家族による援助を受けることが困難な人が入居する施設。入居者が安心して生き生きと明るく生活できることを目的としており、ある程度の身の回りのことができる人が対象で、日常的な介護が必要な人は対象としていない。
対象利用者
60歳以上で、身体機能の低下等により自立した日常生活を営むことについて不安があると認められる人で、家族による援助をうけることが困難な人。(配偶者など一緒に入居することが必要と認められる例外もあり)
行われているケアの内容
食事の提供、入浴等の準備、相談および援助、社会生活上の便宜の供与等、その他の日常生活上必要な便宜の提供。自分でできることは自分でしてもらい、自分で行うのが困難なこと、不安なことについては援助や助言を行う。日常的な介護が必要になった際には、通所介護や訪問介護など他の介護サービスを併用することも可能。ケアハウスの職員の業務は相談援助業務がメインとなる。また介護予防の視点をもった支援も必要。
障害者支援施設
定義
障害者支援施設とは障がいのある利用者に対して、食事・排泄・入浴などの介護、生活などに関する相談および助言、その他必要な日常生活上の支援(施設入所支援)を行う施設と施設障害福祉サービス(生活介護、自立訓練、就労以降支援または就労継続支援B型)を行う施設のこと。2006年の障害者自立支援法(2012年に障害者総合支援法に)にて一元化された。障害児施設については児童福祉法が根拠法となっている。
対象利用者
身体に障害のある人(身体障害者手帳の交付を受けておられる方)、知的障害のある方、身体障害または知的障害のある児童、精神障害(発達障害を含む)のある方、難病患者等で一定の障害のある方。
市区町村にまず利用希望の申請をして障害支援区分の認定(区分1~区分6)を行い、サービスの支給決定を受ける、その上で支給申請をする。
行われているケアの内容
障害者支援施設では、利用者の意向・適正・障害特性などをふまえた個別支援計画を作成し、それにもとづいてサービスを提供する。また継続的な評価(モニタリング)を実施し、利用者に対して適切かつ効果的なサービスを提供するしくみとなっている。入浴・排泄・食事・移動・更衣・整容などの生活支援の質を高めることはもちろん、自立支援という観点から利用者に接し、エンパワメントの視点から支援することが求められている。
ふぅー。色々あることがわかったが、ここでは介護サービスの一つの項目としてまとめられてしまったが、⑧の障害者支援施設も実際は入所施設、通所施設、作業所など多岐にわたるんですが…介護福祉士として勉強する内容は基本的に高齢者の介護を念頭においてるんですよね。日本では仕方ないか…。