介護福祉士への道 介護職員初任者研修編 6

緊急事態宣言が解除され、6月に入りました。東京や北九州市など少し心配ではあります。しかし私自身、久しぶりに街へ出た感想としては、予想以上に皆さん危機意識を持ちつつ行動されているなという印象でした。マスコミは自粛解除した途端に国民の気が緩んでいるとすぐに煽りますが、街ゆく人々は皆マスクを着用して、いわゆるソーシャルディスタンスも可能な限り意識しているように感じられました。

何が言いたいかというと、国民の生活様式は緊急事態宣言解除になったからといってコロナ以前の生活にすぐに逆戻りなどしておらず、ちゃんと大多数の人は感染予防を意識した生活をしているということです。こんな感じである程度、感染予防を意識しながら、日々の微増微減する感染者数と付き合いながら、経済を回していくしかないのかなと思います。

本日からは介護における尊厳の保持と自立支援について学んでいきたいと思います。

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人権と尊厳の保持

介護における権利擁護と人権尊重

介護が必要な人々は他社の支援を必要としていても、権利の主体として何ら変わるものではない。介護職はこの根本を理解し、専門職としての人権意識を高く保つ必要がある。

すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

日本国憲法第13条

また日本国憲法第25条では、国民の権利として生活を保障し、国にその推進、充実の責任があることが規定されている。利用者はサービス利用を通じて、自立生活を目指し、望む豊かな生活を実現できることが「権利」として保障されているということができる。

①すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

②国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

日本国憲法第25条

介護職が利用者の生活を支援する上で、不利益を生じさせることは、利用者の権利をおかすことになる。

  • 生活環境や生活条件の不適切さ、不十分さによって、利用者の生活の安全性や快適性がおびやかされる場合。
  • 対人関係において、直接的に生活上の権利が侵害される場合。

具体的には虐待悪徳商法による搾取や不当な契約、さらに詐欺などがこれにあたる。

介護職自身が利用者の権利を侵害しないために、細心の注意を払いつつ、他者からの権利侵害に対しても権利擁護のために対応する必要がある。こういった行動は「擁護・代弁」、「支持・表明」を意味するアドボカシー(advocacyともいわれる。

介護における尊厳の保持と実践

1979年にノーベル平和賞を受賞したマザー・テレサは、誰からも必要とされていないと感じることは、人間にとっては生きる意欲を奪うことでもあると説いている。

介護の現場においては、利用者は介護を要する状態であったとしても、何らかの「役に立っている」「必要とされている」と実感してもらえるように支援していくことが重要。それが人としての尊厳の保持につながる。

行為として何らかの作業を行うことができなくても、その人の醸し出す「やすらぎ」「優しさ」「温かさ」などで周囲の人を癒してくれることがある。それらを伝えることで誰もがかけがえのない存在として尊重される必要がる。

人には、それまで生きてきた歴史があり、「生活のこだわり」や「その人らしい生活」がある。利用者が介護を必要としても、それまでの暮らし方を継続できることが大切である。要介護者として、ひとくくりにすると「その人らしさ」が見えなくなってしまう。尊厳のある暮らしを支援する必要がある。

エンパワメントの視点

エンパワメントは、1960年代以降にアメリカを中心に発展した考え方であり、現在は日本でも社会福祉援助活動の一つとして定着している。エンパワメントとは、自らの課題を自ら解決していくことができる能力や技術を獲得していくこと、またはそうしたことを促す支援方法をいう。利用者のストレングスに着目して、内に秘める力にはたらきかけることがエンパワメントである。

介護職は利用者の今ある力を信じて、利用者を尊重した上で、利用者自身が考えて決定した生活を継続していけるよう支援する。そのためには、周囲の社会資源の活用環境の整備が大切である。

利用者のプライバシーの保護

プライバシーの権利とは、法律上では個人や私生活上の事柄が他人から干渉されたり、侵害を受けたりしない権利を意味し、基本的人権の一つである。近年、「自己の情報をコントロールできる権利」も含まれるようになっている。

また個人情報とは、個人の氏名、生年月日、住所などの個人を特定する情報のこと。

利用者の尊厳の保持と守秘義務が課せられている介護職は、プライバシーの権利について意識して支援を行わねばならない。

契約にもとづくサービス利用において、利用者保護の観点からもプライバシー保護の視点は重要である。具体的には入浴や排泄の介護において、「見られたくない」「恥ずかしい」等の利用者にとって他者に介入されたくない部分への配慮が大切である。また集団生活である施設でも、利用者が一人になれる時間や空間をつくることも必要である。

はい、ここまで。本日、学んだことは利用者の支援以前に人の権利という根本の大原則のお話ですが、日々の支援の中では利用者からの訴えがないので、無意識のうちに利用者の権利を侵害していることがありそうです。常に念頭において置きたいですね。

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